2017年、子どもの貧困が社会問題として大きく取り上げられ始めた頃のことです。
私が勤めていたNPO法人で、「こどもSUNSUNプロジェクト」という新しい取り組みを立ち上げました。
このプロジェクト名には、子どもたちの笑顔が太陽のように社会を明るく照らし、みんなを元気にするという願いが込められていました。
当時、日本財団の調査で衝撃的な結果が発表されたんです。
なんと、7人に1人の子どもが経済的貧困の状態にあるというのです。
この数字を宇都宮市に当てはめると、約12,500人の子どもたちが貧困に苦しんでいる計算になりました。
この現実を前に、私たちは立ち上がらずにはいられませんでした。
そこで考え出したのが、宇都宮市の人口約50万人が毎年1人1,042円ずつ出し合えば、この問題を解決できるというアイデアです。単純だけど力強い、このキャッチコピーを掲げて寄付集めを始めました。
プロジェクトの集大成として、2017年のクリスマスシーズンに宇都宮市のオリオンスクエアで大きなイベントを企画しました。
県内の様々な団体が集まり、楽しいイベントを通じて自分たちの活動を知ってもらうと同時に、ファンドレイジング(寄付金調達)活動も行いました。
この取り組みは、従来の「子どもを助ける」という発想から、「子どもの笑顔で社会を変える」という新しい視点への転換を目指すものでした。
まさに、社会のコペルニクス的転回とも言えるでしょう。
子どもたちは単に助けられる対象ではなく、社会を明るくする主役なのだと考えたのです。
2017年当時、子ども食堂や学習支援など、様々な取り組みが各地で始まっていました。
しかし、私たちは個々の支援活動を超えた、社会全体の意識改革が必要だと考えたのです。
「あなたの1,042円で、子どもの未来が変わる。そして、その子どもの笑顔があなたの明日を明るくする。
この素晴らしい循環に、参加しませんか?」という呼びかけは、まさにそんな思いの表れでした。
この活動を通じて、私たちは重要な気づきを得ました。
子どもたちの笑顔を守ることは、実は私たち大人の幸せを守ることでもあるのだと。
そして、その笑顔こそが、私たちの社会を変える最も強力な力なのだと。
2017年のこのプロジェクトは、その後の子どもの貧困対策や社会福祉の在り方に大きな影響を与えました。
単なる経済的支援だけでなく、子どもたちの笑顔や幸せを中心に据えた社会づくりの重要性が認識されるようになったのです。
今、2017年のあの取り組みを振り返ると、私たちは確かに社会を少し動かすことができたと感じています。
そして、子どもたちの笑顔という太陽の光は、今もなお私たちの社会を照らし続けているのです。